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2 極 か 3 極 か

2 極 か 3 極 か
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 「2極か3極か」と言っても真空管の話ではありません(古いな…)。プロのオーデオ機をのぞけば、いまやICに置き換えられ真空管は死語になっています。私が問題にしているのは 階級関係は 資本主義の発展期には支配階級対民衆の2極対立ですが 資本主義の発展が行き詰まった危機の時代には 支配階級がこれまでの利権・儲け口を維持しようとするグループと、これまでのあり方をひっくり返して新たな自らの利権・儲け口を創り出そうとするグループとに分裂するので プラス民衆を加えて 3極対立で考えるべきだということです。図式化すれば 逆二等辺三角形です。
 資本主義が危機に陥ったとき 必ずこれまでのあり方の変革を唱えるファシズム的なものが登場してきます。だから 危機の時代には 支配階級の分裂、ボナパルティズムとファシズム(的なもの)との分裂を対象化しなければダメなのですが これまで通りの資本(家)対賃労働(者)、政治的には保守対革新という2極対立で問題を立てている人や説をしばしば見受けます。特に日本のマスコミはその傾向が強いように思われます。

 昨年11月、12月 世界政治の場面で2つの大事件がありました。1つは 米大統領選挙でトランプが当選したことであり もう1つは 韓国で数百万人の街頭デモで朴を退陣にまで追い込んだことです。共に 既存のあり方にNOを突きつける民衆の怒りが高まっていることを示していますが それは資本主義の発展が完全に行き詰まり、もはや民衆が「食えない状態」に落し込められていることを示していると思います。
 アメリカと韓国との違いは 選挙かデモかの違いです。米大統領選挙は ブルジョアジーのどちらを選ぶか、つまりボナパルティズムかファシズム(的なもの)の選択であり 第3極としての民衆の闘いは 選択外です。サンダースも 民主党の予備選挙で敗北したあと、自らを第3極として押しだそうとはせず 二党体制的あり方から抜け出せていません。他方 韓国の民衆は 街頭での直接行動(デモ・決起)で朴を退陣にまで追いつめたのです。投票で誰かに依存・依頼するのではなく 自らが社会の主人公だと立ち上がったからこそ 韓国の民衆は 与野党の妥協策動を粉砕し、朴を退陣まで追い込めたのだと思います。言い替えれば 韓国の民衆は第3極の闘い方を示したと思います。
 問題は アメリカの第3極はどうしたのかです。私は この間の日本の選挙の例から、おそらく投票に行かなかったのではと思いました。だが日本のマスコミは 両陣営の獲得票数や選挙人数は載せていましたが 投票率は一切載せていませんでした。ネットで捜すと「ハリーのタカの目ブログ」にアメリカのメディアの記事の翻訳が出ていました。そのブログに掲載されたデータを紹介すると

   結論からいくと、有権者の投票率は48.6%と最低レベルとなっていま
  す。投票率が57.1%と高かった、現オバマ大統領の初当選時に比べると
  大幅に下がっています。
   ヒラリーさんは前回オバマさんが獲得した票よりも5%~15%少ない州
  がある、と言っています。
   現状に怒った白人がトランプに投票した、と多くの人は考えたようだが、
  事実は違う。実際は、全体で見れば過去、マケインやロムニーが得た票数よ
  りもトランプの得票数は少ないのだ。トランプは約5961万票に対して、
  ロムニーは約6000万票、マケインは5995万票だった。
   対して、ヒラリーは5981万票を獲得したが、08年にオバマが694
  9万票そして12年に6591万票と、比較するとかなり少ない。…
   最後に、参考までに記事が提供している投票率の過去のデータを示します。
[表は省略]

 表を見れば一目瞭然ですが 今回の選挙の投票率は過去最低で48.6%です。トランプも票数を減らしているのですから トランプが支持を得て勝ったのではなく、ヒラリーが票を大幅に減らして負けたと言えます。総有権者数でみると トランプ支持はわずか24%にすぎません。アメリカの民衆はどちらも拒否したのです。
 トランプの当選が決まった日から トランプの差別主義・排外主義に抗議し、「トランプは我々の大統領ではない」を掲げて多くの人がデモに決起していることが報道されていました。おそらく棄権した人たちは このデモに決起していたのではないかと思われます。
 われわれが注視すべきは こうした第3極の闘いです。この日本でも(特に大阪は)アメリカと同じような階級関係だと思います。自民(+公明)と維新との対立は ボナパルティズムとファシズム的なものとの対立です。どちらも われわれは支持することはできません。だから 例え初めは少数であったとしても 第3極の闘いを創り出すことが問われていると思います。

 トランプは「不動産王」と言われています。不動産はおカネとは異なり、移動することはできません。グローバル化と称して自国の資本が超過利潤を求めて海外に出て行き、国内産業が空洞化し、中間層がいなくなったら 家屋を借りたり買ったりする人はいなくなります。つまり 不動産業は 破産に追い込まれるのです。だからトランプは これまでのあり方の変革を声高に叫んだのです。
 だが閣僚候補には 元軍人とともにウォール街の大物の名前が何人か上がっています。当選の翌日に大幅に下落した株価は 次の日からドンドン高値を更新しています。つまりトランプは 大資本が海外に出て超過利潤を上げることに反対しているのではなく それを維持した上で国内産業もちゃんとやれと言っているだけなのです。トランプに投票した人たちも同じ気持ちだということです。帝国主義(先進国)の特権であるこれまでの海外からの超過利潤を維持した上で 自らの職も保障せよと言っているのです。トランプは当選後 IT企業の経営陣を集めて国内工場の建設を要請したが、IT企業の経営陣は渋い顔をしていたと報道されていました。いまのアメリカのIT企業は 販売と新商品の開発に特化していて 生産はすべてアウトソーシングです。しかも 日本のように系列子会社ではなく より安価なところを求めて捜しまわっているという話です。
 帝国主義(先進国)の民衆に問われていることは 海外からの超過利潤を追い求めるのではなく マルクスが「アイルランド問題」で明らかにした「他民族を抑圧する民族は自由ではありえない」「抑圧されている側の利害を自らの利害にしなければならない」という思想です。それ抜きに帝国主義(先進国)での真の民衆自身の闘いは実現できません。
 2極対立で、反グローバリズムの意識がトランプを押し上げたと見ることは 第3極の闘う民衆をファシズムに売り渡すようなものです。イギリスのEU離脱も 離脱派はイギリスの金融立国としてのあり方や、その下請けである海外領でのタックスヘイブンの存在を否定していません。
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