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2018年上期景気動向分析


2018年上期景気動向分析
――――――――――――――                花 山 道 夫
Ⅰ 景気は良いが、経済は悪い
 昨年の11月7日に日経平均株価は2万2937円で取引を終えた。「1996年6月26日に付けたバブル崩壊後の戻り高値(2万2666円)を超え、92年1月9日(2万3113円)以来およそ25年10ヶ月ぶりの高値を付けた。チャート上の次の節目として、史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(7054円)までの下げ幅の半値戻しにあたる2万2985円が意識されそうだ。」(日本経済新聞2017.11.07)ということでしたが、今年の大発会(1月4日)にあっさり2万3000円を突破して、1月9日の終値は2万3849円となった。これについて考察してみよう。株価の基本的指標としてPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りが挙げられる。個別の株の場合はこの三つの指標等を参考に売買が行われるのだが、相場全体がどうかという場合にはPERが一番重要である。要は一株当り、企業がどれだけ儲かっているかという指標である。昔から、14倍から15倍ぐらいが適正な水準だといわれていた。1÷14≒7%、1÷15≒6%、確定利回りではないので少なくとも6%はないと買えないということです。昨年は13~14台で推移し一番高い時で15.3を付けた。今年の1月9日で15.7となった。日経平均の終値で最高値を付けたのが1989年12月29日の大納会の3万8915円であるが、このときのPERが61倍でPBRが5.6倍であった。1月9日のPBRが1.4倍であるので、バブルとは言えないが花山は持続性に関しては疑問を持っている。逐次、説明していく。ただし、投資家向けの解説ではないので黒田日銀批判、安倍政権の無能ぶりの暴露という内容である。

 誰が買って,誰が売っているのか
 買う方はこの価格なら買う、売る場合はこの価格なら売る、というのが普通である。売る場合は現金が必要になってとりあえず売るというのもあるが普通は価格が基準である。個人投資家はこの傾向が強いので利益確定で売り越しが多い。ところが、普通の常識とは違う組織がある。黒田日銀である。
 ETFとは、“Exchange Traded Funds"の略で特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している上場投資信託である。日銀は国債だけでなく株も買っているわけである。買っているというよりは相場の下落時に買い支えているといった方がいい。いわゆるPKO、価格維持作戦をやっているわけである。また、年金積立金管理運用独立行政法人の資産構成割合のうち、日本国債比率が小さくなる一方、日本株の比率が高くなっていることも下支えになるかもしれませんが、上げ下げの波が少ないと個人投資家は休眠に入るので官製ファンドが増えることは需給面からみると必ずしもいい結果はもたらさないと考えられます。

 株価はコントロールできない―能天気の安倍
 2016年に『バブル日本迷走の原点』でアベノミクスという経済政策が実態以上に誇張して喧伝されていることを批判した永野健二氏のエピソードを紹介しておく。
   為政者は常に、謙虚に政策の推移を見守らなければならない。だが、安倍首相の態  度は違った。同時成立が不可能といわれるアベノミクスの三つの掛け声、とりわけ「構  造改革」という血を流す政策に着手する前に、早々と「アベノミクス」の成果を声高  に主張する。
   私が怒りを覚えたのは、13年末の日本経済新聞社のエコノミスト懇親会の席上で、  安倍首相が「ここに列席のエコノミスト、ジャーナリストの誰一人として、今の株高  を予測した人はいなかった」と大見えを切ったことである。アベノミクス開始以降、  日経平均は60%近く上昇していた。なりよりも「株価はコントロールできる」とい  う過信が言葉の端々に感じられた。バブルのユーフォリアに巻き込まれた権力者が、  必ず陥る罠である。(週刊『エコノミスト』2017.12.26 傍線:引用者)
 予測すら難しいのに「コントロール」できると考えているとしたら、私は経済が分からないといっているのと同義である。しかし、アベノミクスのせいで景気がよくなったと信じている人は一定程度いるのも事実である。「日本株の著しい出遅れを考えれば、日経平均が18年末に3万円、20年に史上最高値の4万円を目指すシナリオは、至極当然になってきた。」(武者陵司/前掲書『エコノミスト』誌)この予測があっているのなら今の株価水準は安い。買いだ。27年ぐらい前によく聞いた話だ。

 現在の収益が維持できるのか
 株価が割高か割安かを判断する指数としてバフェット指数と言うのがある。有名なアメリカの投資家ウォーレン・バフェット氏が株価の割安・割高を判断するときに使っているといわれる指標で「株式市場の時価総額÷その国のGDP×100」で表す。
 このバフェット指数は、経済が順調な先進国では、株式市場の株価の上昇が国の成長のGDPと比例して上昇していくという考えがもとになっており、GDPが成長していないのに株価が上昇していると状態だと不自然に株価が上昇している(割高)と考えます。バフェット指数が100%を超えていると割高、100%以下だと割安といえます。
 日本のバフェット指数を見てみると1989年のバブルのころは140%を超えていて、ついでリーマンショック前の2006年から2007年かけても100%を超えて、最近の2015年のチャイナショック前も100%を超えています。
 バフェット指数は、100%を超えると割高だと考えられますが、100%を超えたからと言って、すぐ暴落するわけではありません。100%を超えてから数年ほどたって暴落する場合もありますので、暴落時期をピンポイントでわかるという指標ではありません。ただし、現在の株価が割高か割安化の判断材料になり、100%を越した状態がしばらく続くと暴落の危険性があると判断できる指標と言えます。
 ちなみに、2018年1月10日現在の日本のバフェット指数133だそうです。先ほどのPERの指数との関連でもう少し解説しておくと、会社の財務指標のなかで資本収益性に関してROAとROEというのがある。
 総資本経常利益率(ROA)
 会社が投入した資本に対して、どれだけの利益を上げたかを表す指標です。利益を上げるにあたり、どれほど資本を効率的に利用できたかを確認できます。分子=利益 分母=自己資本+借入金
 自己資本当期利益率(ROE)
 株主が投下した資本で、どれだけの利益を上げたかを表すものです。会社としては、株主の資本をいかに効率的に活用できたかを判断できます。分子=利益 分母=自己資本。
 まともな経営者なら分子の利益を増やして数値を上げようと努力する。しかし、ビジネススクールでは分母を減らして利益率を上げろと教える。技術開発費の削減もあり、いわゆる選択と集中というので工場を社員共々売り払うということをする。ハゲタカファンドによっては、借入金で自社株買いを要求する。例えば現状で利益が10億円で自己資本が100億円、借入金50億円のばあいROAは10÷(100+50)≒6%で、ROEは10÷100=10%となる。ここで50億円借り入れて自己株式を買い入れ償却するとROAの分母は自己資本が50減って借入金が50増えるので変化はないが、ROEは10÷50=20%となり一株当たりの利益は倍になる。正確にいうと借入金の利息の支払いがあるのでそこまでにはなりませんが。こうすると借入金が増えるので経営の安定は損なわれるが株式市場では評価される場合が多いようです。
 神戸製鋼所や日産自動車の不祥事にみられるように製造業の現場力が落ちている(正確に言うと無能な経営者によって落とされている)のではないでしょうか。先のバフェット指数との関連で言うと、利益最優先で労働分配率の低下で企業利益が上昇しているのであれば消費は伸びない。当然、GDPも伸びない。そうした状況の中で企業の利益の拡大には限界があるということである。
 結論として言えることは、新自由主義路線の下で金融緩和をやっても経済学的意味における投資(例えば設備投資・工場を建てたり、機械を買う等)は伸びない。株を買うというのは経済学的に言うと投資ではなく持ち主が変わるだけなので移転になる。ただし、仲介手数料はGDPにカウントされる。2016年頃に一時ブームになった相続税対策としての賃貸住宅の建設(これはGDPにカウントされる)は空き家だらけで政府の通達のせいかどうかはわからないが金融機関の融資が厳しくなった。賃貸住宅を相続時に評価を下げるというのは住宅が不足しているときには有用な政策である。相続税の課税限度額を変更するときに一緒に見直せ!使われない設備投資は不良債権になる。だから余裕資金は株に回る、株が上がると景気が良いとなる。しかし多くの庶民にとっては実感がわかない。
 国税庁の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は1989年に402.4万円(伸び率4.6%)と初めて400万円台に乗せた。1993年に伸び率が▲0.6%となるが 1997年に467.3万円(伸び率1.4%)とピーク付けて以降、ほぼ下がり続け 2009年には405.9万円となった。2016年には421.6(伸び率0.3%)となったが、かつてのレベルとは程遠い。また1年を通じて勤務した給与所得者4、869万人について、給与階級別分布をみると、300万円超400万円以下のものが854万人(構成比17.5%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下のものが796万人(同16.3%)となっている。500万円以下が構成比71.4%、500万円超800万円以下が19.7%、800万円超が8.9%である。
 正社員の求人が増えているというが本当にいいところはそんなにない。ブラック企業がどんどん社員が辞めていくので必要以上の人数を募集しているところもあると聞く。日銀が国債をどんどん買って借金を増やしている。その付ツケを将来誰が負担するのか、それを考えると経済は悪いとなる。人手不足について一言いっておく。医療・福祉産業で明らかに労働需要が増加しているのになかなか賃金が上がらない理由ははっきりしている。診療 報酬制度や介護報酬制度により医療サービスや介護サービスの価格が抑制されていることだ。運送業は運賃の値上げを実施したので成り行きを見届けたい。建設業の職人不足は相当深刻だといえる。雨が降るとできない場合があるので、土曜日、祭日は出勤が当たり前、二次、三次の下請けは当たり前なので労賃アップの交渉が難しい。というより元請が見積もりではなく指値(この価格でやれ)で注文がくる場合がある。一人前になるのにかなり時間がかかるので来てすぐの若い人にそんなに日当は払えない。月極ではない、日当です。この条件では若い人は来ない。団塊の世代の先頭はもう70歳に入った、最後の1949年生まれもあと2年で70歳になる。野丁場(マンション建設などのゼネコンの現場)では対策を打っているが、町屋(普通の住宅等の現場)では中小企業が多いのでまだ対策は取られていない。資金は金融資産ではなく人に投資しなければならない。安倍さん大企業の社員の給料を3%上げるのも結構だが、このあたりに投資する方が効果は高い。というより政府がやるべきは枠組みを変えるということですが。賃上げ要請するというのはいかにも筋が悪い。

 Ⅱ 日銀の金融政策の舵取りがいよいよ難しくなった
 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は2月にパウエル新議長と交代する。スタンスはそう変わらないといわれている。イエレン議長の最大の成果は金融政策の正常化への歩みを進めたことといえる。「FRBは市場混乱がない限り、利上げなどの金融政策の正常化へとあゆんできた…利上げの目的は一般的に、将来にインフレが加速するリスクを未然に防ぐためとされる。しかし、米国のインフレ率は目標とする2%を下回っており、金融政策の正常化を急ぐ理由として不十分だろう。しかし、リスクには上方だけでなく下方もあると考えると合点がいく。」(週刊『エコノミスト』2018.1.9)つまり将来、経済危機が起きた時、利下げで対応できる余地を残しておきたいということである。
 黒田日銀総裁は出口の議論さえ避けている。日銀は2016年9月、金融調節方針の操作目標をお金の量から金利に変える長短金利操作を導入し、長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の「メド」を約80兆円とした。黒田総裁は昨年5月、年換算の増加額が60兆円前後になっていると説明。はっきり言って80兆円買うと金利が下がりすぎるし、もう「タマ」がない。金融機関も担保等に使うのである程度持っておかなければならない。いずれ、バブルは崩壊する。大規模化になるか小規模で留まるかはわからない。その時どう対応するのですか、お答えください。黒田は4月8日で任期が切れる。再任かどうかはまだ決まっていない。トランプ大統領はイエレンが民主党が選んだ議長なので再任しなかったが、パウエルは妥当な人選だといわれている。安倍総理が誰を指名するか注目している。

 ひとくち評論は 紙面の都合で 今月号はお休みします。(松)
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