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2018年下期景気動向分析

2018年下期景気動向分析・行き詰る銀行経営
――――――――――――――――――――――        花 山 道 夫
     <ひとくち評論>は 紙面の都合でお休みします。(松)
 日銀による常軌を逸した低金利政策により、銀行経営はかなり追い詰められている。それを象徴するような事件が昨年末から表面化した。
 「かぼちゃの馬車」という女性向けのシェアハウスを運営するスマートデイズ社が 2017年10月にオーナーにサブリース賃料の減額を通知し、2018年1月には家賃の支払いが滞りはじめ、5月には倒産する事態となった。そしてその間にスルガ銀行の不正融資が明らかになった。
 「サブリース契約」というのは一括借り上げという方法で、不動産会社が借家人から家賃を徴収し1割から2割を引いてオーナーに渡すという方法で、もし空きが出ても契約した金額は支払うということなのですが、2年ごとに契約を見直す等の附帯条項がついているのが普通である。業者が損をしないようになっている。また建築価格を通常より高く設定している場合が多い。今回もぼったくりだったみたいである。通常、住宅ローンの場合は借入人の属性が重視される。例えば一流企業に勤めていて、勤続年数も一定程度あると審査は通りやすい。頭金なし(フルローン)でもいける場合もある。しかし、この場合は事業性のローンなので採算が合うかどうかが審査の基準になるので普通の銀行はまず貸してくれない。この業界ではスルガ銀行は「S銀行」といって有名であった。「フルローン」どころか場合によっては「オーバーローン」(諸経費〔登記費用、不動産取得税等〕込み)でも貸してくれるという噂だった。ただし、利率が4%とかなり高めだった。
 では、普通の銀行がなぜ融資しないのかを説明する。さらに、不動産バブルの発生について解説する。先に、基礎知識として不動産の評価額を算出する代表的な方法を紹介する。
 (1)原価法
 同様の不動産を再び購入すると仮定した場合に必要な金額を再調達原価といい、そこから価値の低下する要因に応じて減価修正を行なって算出します。
 言い換えると、同じような物件を買うにはいくらかかるのかを計算し、そして建物が老朽化や設備が陳腐化している場合にはその分だけ評価額から差し引くことで、評価額を求める方法である。ざっくり言って 土地付き建物の評価額を出す際には有効な計算方法ですが、土地のみの評価額にはあまり向いていません。

(2)収益還元法
 不動産から得られる地代・家賃などの収益を将来にわたって算出し、それを現在価値に割引して評価します。この収益還元法は、アパートやテナントビルなどの賃貸に出されている不動産の評価額算出に頻繁に利用されています。他方、建売住宅や自宅購入者向け分譲マンションの販売においては、収益還元法はほとんど使われていません。
 (3)取引事例比較法
 原価法や収益還元法といった評価方法と異なり、その不動産単体ではなく、近隣の他の不動産を基準として評価額を求める方法です。具体的には、近隣の不動産の過去の取引を基準とし、必要に応じて補正・修正や地域・個別物件の要因を比較して不動産の価格を算出します。
 収益を出すことを目的としていないエンドユーザー向け住宅の販売に向いており、またその地域の相場にあった取引価格を算出できるという利点もあります。

 不動産というものは一つとして同じものがないのですが、価格が高いため骨董品のように掘り出し物も出ない代わりに高い値を付けても売れない。実家のすぐ近くに物件が出た場合、その人にとっては希少性があるので売れる場合もある。収益物件の場合、銀行は貸しませんとは言わない。1億円の借り入れ申し込みに対して7千万なら貸しますといって断るのです。無理して融資しても貸す方も借りる方も困るのである。特にシェアハウスは敷金、礼金なしが普通で長期に借りる人はまずいない。入居も退出も容易なので空き部屋になるリスクが高い。銀行の審査部はそんなことは百も承知なのでこんな物件は絶対通らない。もし通ったのであれば、貸付利息は4%ではなく1%ぐらいとなる。
 1980年代の後半、銀行の支店長は冗談だが面積の計算ができたら務まるといわれた時代があった。不動産の評価に取引事例比較法を多用していたため坪単価×面積=時価に対して掛け目100%で貸してもまだまだ地価は上がるから大丈夫ということなのですが、その後はどうなったか承知の通りです。
 最近地価が若干上昇している。はっきり言ってアベノミクスのせいである。といっても景気がよくなったからではない。日銀の金融政策のゆがみで金利が下がり続けたためである。
   国土交通省が公表した公示地価(1月1日時点)で、全国平均の地価が3年連続で  上昇した。大都市部だけでなく、地方圏でも26年ぶりに下落から脱したのが今回の  特徴だ。観光など実需に裏打ちされた上昇だが、長期化する低金利の副作用には注意  が必要だ。
   全国に約2万6千ある調査地点をみると、上昇した地点数が下落地点を上回った。  これはリーマン・ショック直前の2008年以来、10年ぶりだ。地価は本格的な上  昇局面に入ったといえる。
   その要因は幾つかある。まず、訪日客の増加に伴う店舗やホテルなどの需要拡大だ。  商業地、住宅地ともに全国で最も上昇率が高かったのはリゾート地として人気の高い  北海道倶知安町だった。京都市の商業地の上昇率が東京23区を上回ったのも観光効  果だろう。
   企業の旺盛なオフィス需要も地価を押し上げている。東京や大阪だけでなく、札幌  や仙台のような地方都市でもビルの空室率は低下している。土地の収益力が高まって  いるのだから、地価が上がるのは自然な動きだろう。

 3年連続の上昇とはいえ、平成の初めごろのバブル経済期とは様相は異なる。当時  は全面的に上がったが、今回は立地条件によって地価動向は多様になっている。
   例えば、三大都市圏の住宅地をみると、上昇地点は最寄り駅から2キロ程度までに  とどまる。これも土地の収益性をもとに地価水準が形成されている表れだ。
   土地デフレが終わったことは経済にとって望ましいものの、先行きには不安材料も  ある。東京ではマンション価格が高水準になり、需要が追いつかなくなっている。企  業業績の改善が賃金の継続的な上昇につながらないと、住宅販売は息切れしかねない。
   地価上昇の根底にあるのは長期化する低金利に伴う投資資金の流入だ。都心部をみ  るとオフィス賃料の上昇は鈍いのに地価は上がり続けている。値上がりへの期待感か  ら地価は振れやすいだけに、政府や日銀はよく注視してほしい。(日本経済新聞 201
  8.3.27)
   低金利下で伸びてきた不動産融資が鈍っている。日銀は8日、全国の銀行による2  017年の新規融資額が11兆7143億円と、前年比5.2%減ったと発表した。  前年を下回ったのは11年以来6年ぶり。日銀が13年に大規模な金融緩和に踏み切  って以来初めてだ。16年はマイナス金利を踏まえ融資増となったが、アパートの過  剰建設などゆがみが目立ち、銀行が慎重姿勢に転じた。
   不動産向けの新規融資は16年に12兆円を突破。統計を遡れる1977年以来最  高となった。日銀が16年にマイナス金利政策を導入したことをきっかけに、長期金  利が大幅に低下したことも融資増の追い風となっていた。
   17年に前年比減少に転じた主因は、個人が貸家を建てる際のアパートローンの大  幅減。不動産向け融資のうち、アパートローンなど個人の賃貸業向けは3兆3202  億円と、前年比で14.2%も減った。15年、16年と2桁の増加が続いたが、変  調が鮮明になった。
   アパートローンの伸びの背景には15年1月施行の相続税制の見直しがある。増税  となることがあり、節税策としてアパート建設に踏み切る資産家が急増した。
   ただ「節税目的のアパート建設の急増は需要の裏付けを伴っていない」(みずほ証  券の上野泰也氏)との懸念があった。金融庁や日銀は供給の急増で空室率が上昇して  不良債権化する事態を懸念し、融資急増に警鐘を鳴らしていた。大和総研の土屋貴裕  氏は「貸家の需給環境や当局の姿勢も踏まえて、銀行が慎重になった」とみる。
   新規融資は減少したが、融資残高はなお高水準。不動産向け貸出残高は昨年12月  末時点で74兆7942億円と過去最高だ。銀行の総貸出残高490兆円のうち、不  動産の占める割合は約15%。ここ数年続いてきた銀行融資の堅調な伸びの背景には  不動産融資の寄与も大きかった。不動産向け新規融資が減る状況が続けば、融資全体  の伸びも鈍る可能性がある。(日本経済新聞2018.2.8)
 2月16日付の日経新聞によると国内銀行の貸し出し残高は17年末時点で471兆円(外貨貸し出しなどを含まず)。このうち約290兆円が金利1%未満の貸出金だということである。比較的利ざやの厚い金利2%超の貸出金は10%で5ポイント下がった。企業や個人の借り換えが進んだ影響が大きい。

 花山の言いたいことは
 超金融緩和で貸出利息が下がった→不動産投資のハードルが下がった→不動産投資をする人が増えた→売り手が強気になって不動産の価格が上昇した(2015~2016まで)
 →過剰投資になってブレーキがかかってきた (2017~2018)
 ではこの先どうなるのかという予測ですが、高騰したのは大都市周辺で地方ではもともと過熱していない。大阪でもタワーマンションぐらいではないか。問題は東京圏である。
 右の表は収益不動産サイト「楽待」掲載時の平均(2018年5月)をエコノミストの編集部が作成したものであるが、例えば港区の物件があるとして計算してみる。3億1000万円だが、これだけで入手できるわけではない。印紙代、不動産登記費用、仲介手数料、不動産取得税等一時的にいる費用でざっくり5%かかる。さらに、毎年かかる費用として固定資産税、都市計画税がかかるし、毎月管理費がかかる。将来的には修繕費等がかかるので入居者が順番待ち、空室が絶対生じないという非現実的な状態でない限り成り立たない価格である。ただ、あくまでこれは平均で日本経済新聞の広告には3%台の物件がいくらでも出ていた。つまり、買った価格よりさらに高く転売できなければ成り立たない価格なのでバブルとしか言いようがない。住宅ジャーナリストの榊淳司(あつし)(『2025年東京不動産大暴落』)によると、買っているのはJ-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)ということです。J-REITは投資信託の仲間で、証券取引所に上場されている。はっきり言って不動産を買い続けなければならない。およそ月に数百億円から1千億円を買っているらしい。大手企業がバックについているので調達金利は年0.2%位ということである。いつまで持つか。誰でも考えることは東京オリンピックまで。でも皆がそう思うとその前に崩壊する。間違いなく首都圏の住宅家賃が急落するのは2025年である。人口が増えれば住宅需要も増える。国立社会保障・人口問題研究所の地域別推計人口(2018.3月公表)によると、首都圏(一都三県)の25年の人口変動は15年比で0.3%とほぼ横ばいなのですが、年齢区分別推計人口構成でみると、20歳から49歳に限ると2015年比で約12%減少するということなので、住宅需要の旺盛なこの層が減少するということは家賃の下落は必至である。また相続税対策で建てられた賃貸住宅のサブリースの契約更新(10年が多い)と重なるためかなり厳しい状態になる。さらにこの頃には国の財政悪化により金利も上昇し深刻な事態を迎えることになる。
 以前にも書いたと思うが、内閣の支持率の理由に何となくよさそうと答える奴に目茶苦茶腹が立つ。真剣に考えたことがないので分からないと言え。「ボーっと生きてんじゃねえよ!」
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